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見送ル―ある臨床医の告白 [日記]

研修医の頃、ほとんど実地経験もないままに放り込まれた
救急の現場は、壮絶な体験でした.

重症の交通外傷に消化管出血、心筋梗塞、脳出血に骨折
気管支ぜん息の重責発作、そして当直のたびに搬送される
CPA(心肺停止)の患者さんたち.

救急の修羅場の研修を通じて、沢山の方々の治療にかかわり
そして何人もの患者さんの最後を看取ってきました.

治療がうまく行っている時には、こちらもストレスを感じることなく
ベッドサイドに足を運ぶことが出来ますが、もはや治療が見込めない
末期状態の患者さんへの対応は、本当に難しいです.

患者さんにとって辛いことや、悲しいこと、悪い知らせを
いかにきちんと伝えられるか、が臨床医の大事な仕事です.

「苦しい時の友が真の友」といいますが、少なくとも自分が
主治医として関わっている患者さんの最後には、傍らにいることの
出来る医師になりたいと願っています.

 
見送ル: ある臨床医の告白

見送ル: ある臨床医の告白




「偽善の医療」、「衆愚の病理」を書かれた里見 潔一先生の本です.

「ある臨床医の告白」というタイトルのとおり、里見先生のこれまでの
国立がんセンターで関わり、見送った方々のエピソードが綴られています.

癌患者さんへの再発の告知、DNRの問題、がん専門病院の治療現場の状況など
医師としての私もとても興味深く拝読しました.

小説仕立てで語られる主人公の心情に、かなりの部分で共感しました.

死という最後の時間に立ち合うことの出来る医師も医療スタッフも
患者さんや患者さんの家族と苦痛や苦悩の全てを引き受けることは出来ません.

医療の進歩によって、病気の治療も進歩してきたとはいえ
不老不死ではない人間にとって、最後の時をどのように過ごすか
そして医師がどのように「見送ル」か.

これからずっと答えを探し続けるのだと思います.

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勉強嫌いが治る本 [日記]

やはり循環器科医師としては、カテーテル治療でカテ室で
仕事している時が一番元気が出ます.

おそらくは日本全国のカテーテル治療にかかわる先生方も
同じ気持ちだと思います.

とはいうものの、ずっとカテーテル治療ばかりというわけにいかず
患者さんで一杯の外来の仕事や、病棟の仕事も大切です.

一番つらいのは、いったい幾つあるのかもわからない沢山の会議と
山のようにたまった書類書きです.

ひたすら書類書きに勤しんでいる時間は、まさしく
夏休みの宿題に追われる8月末の小中学生の気分です.

そういう私も子供の頃は、同じように夏休みの宿題に苦労してました.

学校の勉強や試験勉強もあまり好きではありませんでした.
なので未だにどこかでその気分を引きずっているのかもしれません.





ご存知、多胡輝先生の、以前の名著が電子書籍となったものです.

子供の勉強嫌いを治して、「やる気を引き出させる」本です.

中身は、子供の勉強嫌いだけでなく、大人になった人にも
仕事へのやる気を引きだすための知恵が詰まっています.

「勉強しなさい」と親身に、親切にいってくれる親もいない大人としては
自分で自分のモチベーションを上げていくしかないのです.

個人的な体験でいうと、中学校の時の国語の先生がとても個性的で
本を読むことの楽しさを私に教えてくれました.
それがあって、今や、本の虫です.

勉強も仕事も、まずは自分たちが手本を示さないと誰もついてこないです.
カテの仕事も、まずは私たちがカテの仕事の素晴らしさをきちんと
感じているかどうか、です.

親の背中を子供はすごく見ているんだと思います.

上司やトップの果たす役割と責任ってやっぱり大きいです.

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しつこさの精神病理 江戸の仇をアラスカで討つ人 [日記]

自分では淡泊であまりこだわりがないほうと思っていますが
長い人生、時々はちょっとむかついたり、イライラしたりします.

たいていはちょっと時間をおいて、他のことに気を紛らわせていると
いつの間にか忘れてしまっていることも多いです.

なので理不尽なことに感情が高ぶった時には、極力その場から離れて
あまり短期な感情にまかせた行動や発言をしないに限ります.

「君子あやうきに近寄らず」、「三十六計逃げるが勝ち」です.

以前の職場から今の職場に転勤する際にも、随分と色々ありましたが
時間の経過で多少は物事を冷静に捉えられるようになり
ちょっと大人になったということでしょう.

過ぎ去った過去を悔やんでも悔やんでも、自分たちに残されているのは
今という時間と、現在からつながる未来の時間だけなので
悩む時間は必要な分だけにして、次の仕事に打ち込みたいものです.





学生時代に、沢山の文学作品に浸る一方で、病跡学という学問にも
ちょっと興味を持っていました.

心理学や精神医学の観点から文学作品を見直すという視点が目新しく
随分とその関連の本に目を通したものです.

ご存知春日 武彦 先生の本です.今回のテーマは「しつこさの精神病理」
「恨み」、「復習の念」といったネガティブな感情についてです.

現在進行形で、世界レベルで、悲惨な出来事が起こり、まさに
「恨み」や「復習の念」の連鎖が続いています.

自分の心の暗黒面を消し去ることは出来なくても、或る程度
うまく付き合っていく術のヒントがこの書にあります.

いつか、あれほど会いたくなかった人に会った時にも
この書にあるような春日先生の知恵で、うまく冷静に対処出来そうです.

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9月9日は iWatchの日となるか [アップル]

この9月9日に、アップルから新しいiPhone6、iOS8そして
ウェアラブル・デバイス(iWatch)が登場すると予想されてます.

iPhone6とiOS8の登場は、まず間違いないでしょうが
ウェアラブル・デバイスは、実際どうなんでしょう.

アップル初のウェアラブル・デバイスが登場したら
もちろん私はゲットするつもりです.高価でないことを願います.

予想ではiWatchは、iOS 8に搭載されるHealthKitと連動して
さまざまな健康管理を行える仕様になるとか.

 ・多数のセンサーを搭載
 ・血圧、発汗、心拍、歩数などをモニタできる
 ・スマートウォッチとして各種のプッシュ通知を表示

アップルは、アメリカの医療機関や大手医療保険会社と
交渉を進めているそうです.

企業でのウェアラブルデバイス導入により、健康保険費用の
削減や、医療費の削減に向けての方策を検討するとか.

かかりつけの医師や病院との間での個人情報のやり取りであれば
それほど抵抗はなさそうですが、企業ベースでのウェアラブルデバイス
導入と健康管理のセット化は、個人への過剰な管理と干渉という
議論もあって、日本での導入にはまだ遠い道のりかもしれません.

個人的には、ホルターECG、ABPM(24時間血圧計)、CGMなどの
病院での検査や、ペースメーカー患者さんのペーシング情報などを
管理する遠隔医療のツールとして、こうしたウェアラブルデバイスを
使っていくことが、実用的ではないかと思います.

あとは肥満に悩むご主人さんのために、奥様がだんなにiWatchを
装着して、MacとHealthKitで健康管理というのもありそうです.

ところでiWatchも当然、Wifiや4G回線が必要になると思うのですが
そうするとiPhone、iPadに加え、さらに通信費用がかかるのでしょうか?

iPhone6とセットだと割引なんて、やってくれるでしょうか?

 アップル、スマートウォッチ iWatch(仮)は新 iPhoneと同日に9月発表?(Re/code報道) - Engadget Japanese
 
iWatch.gif

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喰らう読書術 [日記]

子供の頃、スポーツも人付き合いも苦手であったため
かといって、それほど勉強も好きでもなく、両親共働きで
一人で過ごす長い時間の供となったのは、読書でした.

親と一緒に出かける買い物にまたに街まで出かけた時に
書店で本を買うのが楽しみでした.

中学、高校となると自分の小遣いも増えてきましたが
思い出してみるとやっぱり書店で時間を潰してました.

それにあきたらず学校の図書館の全集のたぐいにいたるまで
手当たり次第に乱読していました.

或る意味、活字中毒というべきでしょうか.大人になって
家族で食事に出かけても、注文した食事が来るまでの時間
活字がないと落ち着かないのです.

最近は、iPhone上で読むFBやLINE、電子書籍
眠る時間以外は、ほぼ24時間、365日、いつでも手元に
活字がある状態となって喜んで良いのかどうか.


喰らう読書術 ~一番おもしろい本の読み方~ (ワニブックスPLUS新書)

喰らう読書術 ~一番おもしろい本の読み方~ (ワニブックスPLUS新書)

  • 作者: 荒俣 宏
  • 出版社/メーカー: ワニブックス
  • 発売日: 2014/06/09
  • メディア: 新書



荒俣 宏先生の「アラマタ流読書術」の極意が紹介された本です.

自分も本好きと思っていましたが、荒俣先生の読書遍歴は
もうぶっ飛んで超越している感じです.おみそれいたしました.

読書には体力、腕力、知力、そして本への愛情とリスペクトが
必要であると説かれます.

「読書は、脳と精神の食事と同じです」
まさに毎日のご飯と同じように、日々、読書を喰らう、のです.

氏は電子書籍は、本とは呼べないと言われます.
単に情報を伝える媒体だけではなく、デジタル化では伝えきれない
物としての価値や存在感、歴史、文化が重要だということです.

秘学、博物学、風水など多分野にわたり精力的に執筆活動を
されている荒俣氏が、これまで読んだ何千冊、何万冊という
膨大な本とのつきあいの中で得た読書術は、私の脳を
新たな地平にインスパイアしてくれます.

書棚にどんな本がおかれているかを、いつも気にしていますが
読書遍歴に、その為人がたしかに現れるようです.

電子書籍の登場で、出版業界は、大変苦労をされていますが
この荒俣先生の本には、本への愛情が満ちあふれています.

「まもなく消えるかもしれない紙媒体」と言われていますが
まだまだ本の時代は続くでしょう.

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心電図症例集 [iPad]

医師だけでなく病院で働く医療スタッフにとって心電図の理解は
必要な基本的知識です.

最近では当院でも心臓リハビリを行っているのでリハビリスタッフも
リハビリを安全に行うために、やはり心電図がかかせません.

私が学生の頃は、偉い先生の書いた心電図テキストを勉強して
後はひたすら実地の心電図を眺めて数にあたるという感じでした.

細かい議論はともかくとして、心筋梗塞を見逃さないように、と
上司からははっぱをかけられたものです.

心電図でもよく見ないとわからないような判断の難しい
急性冠症候群の症例も、実地では体験して、改めて心電図の
奥深さと難しさを実感する今日この頃です.

病棟、外来、救急外来、そしてカテ室で働くコメディカルスタッフには
少なくとも典型的な心電図パターンを見逃さないように
頑張って勉強して欲しいと思っています.

以前に勤めていた看護師さんは、心筋梗塞やブロックや、いろいろな症例に
遭遇するたびに、実際の心電図をコピーして、自分専用の勉強ノートを
作っていました.頭が下がりますね.

幸いなことに、この時代、iPadやiPhoneで使える沢山の教材があります.

 心電図症例集 - 12誘導 ECG (EKG, Electrocardiogram) 心房粗動心室細動 期外収縮
 
ECG1.gif

実際に全ての症例を勉強出来るようにするには、アプリ内課金1000円が必要です.
現時点で1198症例分の動画心電図が収められているので、リーズナブルです.

いろいろな心電図症例がアップされており、通常の紙心電図の画面だけでなく
実際の心電図モニターで流れるような12誘導心電図も体験出来るのがお勧めです.

ECG2.gif

とにかく心電図は実際の症例を沢山みて、勉強するのが一番なので
このアプリを使えば、実地に則した学習が可能ではないでしょうか.

もちろん心電図に自信がなくても、カテ室に来ていただければ
責任を持って、いろいろなことを覚えていただけると思います.

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スタンフォード教授の心が軽くなる先延ばし思考

試験勉強の前日に、やるべきことは沢山あるのに
全然関係のない文庫本を読みふけってしまうのは何故なのでしょう.

夏休みの宿題も「まだ1ヶ月ある、まだ2週間ある」と思っていると
いつしか8月末となって、それでも、今日一日であれをやって
明日はこれをそれをやれば、ぎりぎり間に合う、そんな感じでした.

今は、スライド作りも、パソコンで簡単に出来るようになったため
プレゼン作りも、ついついぎりぎりになってしまいます.

「明日のプレゼンがまだ半分しか出来ていない」よくあることです.
移動中の交通機関や、研究会会場でぎりぎりまでパソコンで
プレゼンを作り続けて、なんとか間に合うというのも日常茶飯事です.

そんな綱渡り的、泥縄的、自転車操業的な人生を送ってきましたが
世の中には、勉強でも仕事でも締め切りに、かなりの余裕をもって
きっちりと仕事を出来る人もいます.

医学部の同級生にもそんなきっちりとした優秀な人たちがいて
試験勉強の時に講義ノートをコピーさせてもらって、助かりました.


スタンフォード教授の心が軽くなる先延ばし思考

スタンフォード教授の心が軽くなる先延ばし思考




先延ばし、先送りで、ぎりぎり生活を過ごすことに、ちょっとだけ
罪悪感とか引け目を感じていた自分がいます.

この本は、その私のネガティブな気分をさっぱりと無くしてくれました.

 「何かを先延ばしする代わりにほかの多くのことを成し遂げているなら
  その先延ばしには意義がある」

 「先延ばしにしたからといって何もしない人はほとんどいない」

 「先延ばしに意義を見いだし、自分に適した優先順位で用事に
  取り組めば、先延ばしやでも『働き者』の称号を手に入れられる」

 「完璧主義が先延ばしを招く」

 「やることリストを作る時には、やってはいけないリストも
  お忘れなく(新しいMacの噂を検索しない...など)」

 「メールとネットは要注意!」

 「人間は合理的な生き物といわれているが、合理的に行動したつもりが
  結果的にそうではなかったということは多々ある.
  自分の先延ばしに意義を見いだす人生もいいものだ」

どうでしょうか.やらなきゃいけない仕事を横目に見ながら
フェイスブックやこのブログを読んでいる方には心に響くはずです.

学生時代から、ながら勉強でないと集中できなかった私ですが
そんな自分の生活を肯定してくれる素晴らしいエッセイです.

すぐには実現できないビッグな夢(ぺらぺらに英語をしゃべるとか)
やることリストの一番に上げておけば、たいていの仕事ややるべき事は
それほど先送りすることなく、やっつけることが出来そうです.

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MeeDocーもしもiPhoneで主治医に相談できたら? [iPhone]

病院の外来はいつも混雑しています.

せっかくの予約外来も、緊急患者さんの診察とか
病棟患者さんの急変への対応とか、いろんな事情もあって
たいていの場合、時間通りには行きません.

なので病院では、患者さんはひたすら待ち続けることになります.

通院される患者さんの中には、主治医の顔をみたら安心だからとか
疑問の点を主治医にちょっと聞いてみたかったからとか
検査や治療ではなく、いわゆる相談がメインの方もあります.

お悩み電話相談のように、気軽に主治医に電話で相談出来たら
わざわざ混雑する外来までやってこなくても良いのです.

時々、外来通院中の患者さんからかかってくる電話には
出来るだけ対応していますが、今の病院の現状と人手不足から
なかなか全てに対応するのが難しいのが現状です.

 MeeDoc on the App Store on iTunes
 
MeeDoc1.gif

 MeeDoc
 
MeeDoc2.gif

フィンランドでの医療サービスアプリです.フィンランド語と英語対応です.

一回につき、25~29ユーロでフィンランドのドクターとiPhone
ビデオ会話で診察を受けることが出来るサービスです.

風邪とか下痢とか、いわゆるCommon diseaseと呼ばれる疾患に関しては
ビデオで簡単に登録医師の診察を受けて、フィンランド限定ですが
自宅近辺で使用できる処方箋も出してくれるそうです.

医療保険サービス、診療報酬の関係から、今のところはフィンランドだけで
日本国内での使用は難しそうです.

医療費とか保険制度の問題を別にすれば、現在のiPhone、iPad、Mac
スマホやFaceTime、Skypeなど、こうしたサービスを行うインフラは
すでに私たちの手元にあると思います.

東京オリンピックも控えていることですし、こうした先進的な
医療サービスも、なんとか日本でも検討出来ると良いですね.

iOS経由の遠隔生体モニターにPepperのようなインターフェース、そして
日本のロボット技術とおもてなしの心があれば素晴らしい形になるはずです.

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ブラック企業経営者の本音 [日記]

研修医の頃の生活を振り返ってみると、3日に一回の当直
当直明けの翌日も夜遅くまで仕事が続き、救急は全て呼ばれ
夜間の緊急手術の手伝いにも呼ばれて、眠る暇もありませんでした.

そしてたまの平和な夜には、先輩たちからの飲み会の誘いで
もちろん当然断ることは出来ませんでした(笑)

「研修を頑張って、なんとか一人前の医者になる」という
分かりやすい目標があったから、ハードな毎日も頑張れたと思います.
それにまだ私も若かったので、数日の徹夜でも元気でいられました.

目標もゴールもなく、将来の展望もなく、ただ歯車のように
使い出が良い人として、働き続けるのは、しんどいと思います.

世間で言われるところの「ブラック」です.


ブラック企業経営者の本音 (扶桑社新書)

ブラック企業経営者の本音 (扶桑社新書)




ーなぜ、長時間拘束できるのか?
 なぜ、残業代を払わなくて済むのか?
 なぜ、社員を使い捨てにできるのか?ー

故の本では、ブラック企業と呼ばれる企業の経営者サイドの視点から
その企業経営の手法や考え方、ブラック企業の本質について書かれています.

本書で言うところの社畜、使い出が良くて、何も考えずに上に従う
社員を作るため、経営者が意図的に行っているブラックな
社員管理のノウハウが明らかとなります.

「育ちが良くて、真面目な人ほど、その責任感を逆手にとって
 社畜にしやすい」など、ブラック企業経営者の本音がわかります.

はからずもブラックな職場で働かざるを得ない状況で
自分を見失わないために、こうした社畜化への洗脳手法は知るべきです.

長引く不況、産業構造の変化から、優良企業といえども
ブラック企業的手法をとらざるをえない状況があるかもしれません.

ブラック企業から使い捨て人材として捨てられる前に
逆に自分が、ブラック企業を使い捨てる心構えが必要だと書かれています.

医療業界も、一部では3Kと呼ばれるほど、しんどくてハードですが
医療の仕事は、頑張るだけの価値があると思います.

地方の病院のブラック化を阻止するために、本書は参考になるでしょう.

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錯覚の科学 [日記]

人は、完璧な存在でなく、必ず間違いを冒すものという前提で
いかにヒューマンエラーをシステムとして少なくするか
それが失敗学から私が学んできたことです.

さらには人間の認知機能も、心理的状況、身体的状況、そして
環境などの要因から、容易に錯覚を起こしやすくなります.

誤解、思い込み、思い違い、記憶の改ざん、不確かな理解.

やっかいなことに誤解と思い込みと誤解で生じた真実でない出来事も
いつしかその人の中で、絶対的な真実として確立してしまいます.

錯覚と錯覚との対決は、時に人間関係の不協和音や不和の原因となり
そして国家間の錯覚の応酬は不幸な歴史に繋がります.


錯覚の科学 (文春文庫)

錯覚の科学 (文春文庫)




アメリカの二人の新進気鋭の心理学者が、この不可思議な錯覚について
心理学、脳科学、認知科学、神経心理学の実験や研究をもとにして
綿密に分析、解析した書です.

心理学的に次々と明らかにされてきた錯覚、認知の問題と
脳科学の進歩がとても興味深いです.

「えひめ丸はなぜ沈没したか」、見えているのに見えず認知できない錯覚.

「人間はバスケの試合に乱入したゴリラにさえ気付かない」

「ねつ造されたヒラリーの戦争体験」

「人は記憶を脳に定着させる時、本当にあったことだけでなく
 あるべきことを勝手に混同してしまう」

「なぜ人は他人の体験談を自分の体験談と思い込んでしまうのか」

「裁判証言でも錯覚が起こりえる」

「合成写真を使うことで、人の記憶を変えることが出来る」

「難解な言葉や概念を駆使する専門家でさえ、肝心のことが
 わかっていないことがしばしばある」

「偶然を必然であると捉えたがるのが人間である」

「情報や状況への錯覚や思い込みから、人は自信過剰となり
 時に大きな誤りを犯す」

「反論に耳を貸さない自信過剰の医師と、医学書を調べる医師と
 どちらが名医なのか」

「おのれの無知ほど自覚しにくいものはない」

錯覚や間違い、そしてヒューマンエラーを出来るだけ最小限に抑えて
少しでも確実な作業と仕事が必要とされる職業の方には重要な
ヒントが沢山詰まった本です.

医療の世界でも診断ミス、ヒヤリハット、医療ミスを未然に防ぐため
錯覚に陥りやすい人間の心理をきちんと知っておくことが大切です.

そして現在の世界にはびこる俗説、デマゴーグ、陰謀論、都市伝説
さまざまな自己啓発関連などなど、錯覚の科学の目を通じて
きちんと見直すことが出来るようになります.

「人間心理による錯覚」の可能性を思い起こすことで
少なくとも突飛で早急な早とちりの行動を避けることは出来ると思います.

結局、人間関係も組織も仕事も、お互いの好き嫌いの感情や相性が合う合わない
そんなことで左右されるものなのでしょうか.

そしてそんなお互いの思いも錯覚に左右される.まことに厄介な人の心...

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